アルバム “ナタクラゲ

ナタクラゲ

2023年以降、音楽界では実にさまざまな事件が起きた。しかし、誰もが見過ごしていたこれこそが、音楽史上最大の大事件と言える。謎の新人アーティスト「ナタクラゲ」のデビューである。顔も名前も明かさぬまま活動するという今日的な活動スタイルを採用しつつも、80年代に興盛を極めたスラッシュメタルを基調とした音楽性というギャップは、古臭い懐古主義でも、何かを忘れてしまったインターネットでもない第三の道を鋭く提案している。デジタルとアナログの境界線を越え、鋼鉄のリフの隙間からボーカロイドの無機質なヴォーカルが人間と社会の闇を叫ぶ。そのナタクラゲが贈る1stアルバムは、地獄のような大量殺戮の場面から始まり、ひとりの少女が社会の脅威となるまでの過程を鮮烈に描くコンセプト・アルバム。少女は何に虐げられ、何を虐げてきたのか。ナタクラゲ自身の人生を描いたというこの作品は、個人の苦悩と社会の闇が交錯するところに、誰もが目を背けていた真実を映し出す。ヘヴィ・ミュージックの、いや、音楽の未来を目撃せよ。

  • ナタクラゲ

    森の中に、不思議な格好をしたかわいらしい少女がいた。近寄ってみると、突然鉈を持って襲いかかってきた。彼女は街や海に繰り出し、人々を次々に殺して回る。まるで、何かの鬱憤を晴らすかのように。 その名は、...

  • 懲役80年

    少女は、物心ついた頃から実験施設に監禁されており、苦痛を伴う実験や危険な薬品の実験、ときに職員のストレスのはけ口として利用されていた。しかもこの施設は雑居房であり、同居人の性質をあまり考えずに部屋が別...

  • 絶頂、その果て

    実験施設から偶然にも脱出した主人公は、心優しい農夫の家族に拾われる。そこで出会った義兄弟たちと、夏休みのある日に海に行く。クラゲに刺されたことすらも楽しかったような、かけがえのない、充実した一日。人生...

  • 合法投棄

    少女は学校にも通い始める。だが同時に、義兄弟たちが別の友達を作りはじめ、距離が広がっていくことになる。外に友達を作れなかった彼女はある日、孤独に耐え切れなくなり、一緒に遊べないことについて喧嘩し、孤児...

  • ラット・イン・ザ・バット

    仕事を辞め、心を病んだ彼女は、家に入ってきたネズミを捕まえてかわいがっているうちに、抱えきれないほど増やしてしまう。それを処分する中で、彼女はそれを狭い容器の中で繁殖させて、手で潰したり共食いさせるこ...

  • シロップ

    かつての輝かしい日々を思い出す中で、彼女はあの頃の仲間たちに逆恨みをする。しかし、頭の中でいろいろな復讐プランを考えるも、そもそも連絡先すら知らず、実現不可能であることに気づく。次第に虚無感が増してい...

  • いいゆめみてね

    すべてに絶望した彼女は、長い眠りにつく。少女は海の中を、友とともに歩いていた。やがてそれはサメの頭で遊ぶ不気味な光景に変わる。次は黄昏時、イルカの棲む室内プールだった。イルカと仲良くしていたと思ったら...