飲酒による集中力向上の原理に関する一考察


一般的に、飲酒は集中力を低下させるということが知られている。一方で、少量の酒ならば逆に集中力が上がるのではないかと一部で言われている。一見して矛盾しているように見えるが、この理由について考察してみた。

それを一枚にまとめたのが以下の図である。

酒と集中力

この図はイメージであってただの体感的な話であり、科学的な根拠があるわけではないことに注意されたい。けれども体感を説明する理論としては結構いい線いっているのではないかと考える。

思考は波のようなものだと考える。波であるならば、周波数成分に分解できる。すると、主要な成分と、ノイズのような成分に分けられるはずだ。そして、ある成分の強さがある閾値を超えると、その成分は意識に昇ることになり、閾値を下回ると、その成分は意識として現れない。

普段は主要な成分が突出しているが、同時にノイズも多く存在している。ここで飲酒をすると、全体としての思考の強さが下がる。するとどうなるか。ノイズだけが無意識の下に沈み、主要な成分だけが意識に昇るようになるのだ。結果として集中力が上がるのではないか、という理論である。

問題なのは、飲み過ぎると意識レベルが下がりすぎて、主要な成分までもが無意識の底に沈んでしまうということ。このレベルは結構すぐにやってくる。その量は本当に少量で、酔ったなと思うまで行ってはいけない。

また少量だとしても、あくまでノイズが消えるだけであって、全体的な思考のレベルは確実に落ちているので、本当に深い集中が求められることをするのには向いていないだろう。どちらかというと、何かの作業に集中するためというよりは、「細かいことを考えてしまって集中できない」というタイプの人が、不安を解消するために飲むのがいいのかもしれない。ただそれは絵に描いたような依存症の入り口そのまんまなので気をつけよう。