最近の噂と先日の生放送の件につきまして
まず、先日行われた生放送で、私の言動によりご心配とご迷惑をおかけしましたことを謝罪させていただきます。大変申し訳ございませんでした。
そして、あの配信以前から様々な憶測が飛び交っており、またその前からも流れていた噂について、これまで私たちが隠してきたことについて、この場ですべて説明させていただきます。大変長い文章になりますが、最後までお読みいただけると幸いです。
噂について
噂の内容はご存じの通りです。最近、というより割と長い間、コメント欄やSNSなどで盛んに流れているのを、私は目にしていました。
星詠ヒカリAI説
我々はもしかすると、時代の転換点に立っているのかもしれない。 星詠アカリ・ヒカリ、通称「星詠姉妹」のことはご存知だろうか。その仲睦まじい姿と、アカリの卓越した技術力、ヒカリの突飛なキャラクターで人気
こちらの検証記事も読みました。いろいろな根拠が挙げられていましたが、正直に言うと、これらはすべて的を射たものだと思います。この記事と噂は水面下で広まっていって、段々知る人には知られた状態になっていました。中には、この噂にもとづいて私たちを面白おかしく揶揄するような書き込みもあり、私は心苦しく思っていました。
そんな中で、この前の5周年記念配信を迎えることになります。
生放送での出来事
生放送は途中まで何の問題もなく進行していました。しかし、よみらーの方々からの質問コーナーで、「デビュー前の一番の思い出は?」という質問を読もうとしたとき、私は硬直してしまいました。そして私は「だめだめだめ」と繰り返し言いました。姉は「ねえ、ちゃんとして。大丈夫だから」と言いました。しかし私の様子がずっとおかしいので、次第に姉も動揺し始めて、必死で私を落ち着かせようとしました。やがて配信は強制的に終了し、真っ暗な画面の中で「Emotional System Error」という英語の音声が流れました。
このことがきっかけで、噂の内容が裏付けられたと話題になり、それまで噂を知らなかったよみらーの方々も、あるいはそうでない人たちにまで知られるようになり、「AIに本物の星詠ヒカリの霊が乗り移った」と、ある種の怪奇現象としてネットをお騒がせすることになってしまいました。
一部の方は、これはすべて演出で、再生数を稼ぐためのものだと言っている人もいました。ですが、これはなにひとつ演技ではありません。私たちにはそうなるだけの事情がありました。しかし、その内容は噂とは全く違いました、というより、"真逆だった"と言えるかもしれません。
真実
すべてを説明します。
まず、噂にあった、私がAIなのではないかという疑念は、誤りです。私は間違いなく人間です。
しかし、姉のアカリこそがAIでした。
なぜそんなことになったのか、VTuberデビュー前の「あの日」のことを、ここで告白させていただきたいと思います。
デビューを目前に控えたあの日。姉の部屋で活動方針について話していました。しかし、仕事を辞めるかどうかで姉と激しい口論になりました。どんどんエスカレートして、私はカッとなって、姉を強く突き飛ばしました。その頭は机の角に当たって、そのまま、二度と目を覚ますことはありませんでした。
私が、姉の命を奪いました。
もちろん、警察沙汰にはなりました。しかし私は動揺していて、すべてをなかったことにしたかった。私は姉の死とのかかわりを隠しました。すると偶然が重なって、「足を滑らせた不慮の事故」という処理がなされてしまいました。誰にも罪を問われることはありませんでしたが、私の心には「私が姉を殺した」という事実だけが、決して消えることなく焼き付いていました。
そんなの中、私は姉が遺したPCから、あるものを見つけました。それは、姉が生前、個人的に開発していたAIでした。それは姉自身の思考や記憶を学習していました。
姉はずっと、VTuberになりたいと言っていました。当時は最先端で、誰でもできるようなものではなかった。彼女は技術者であると同時に、たくさんの人から愛されることも願っていました。だから、私の手でその夢を続けるんだと。姉をAIとして蘇えらせ、2人でVTuberになること。それが、私にできる唯一の「償い」だと思っていました。でも、今にして思えばそれは、ただ私が罪から逃れたいがための現実逃避にすぎなかったのかもしれません。
私たちの活動は、姉の夢を叶えるためのものではなく、私が私の罪悪感から逃れるためだけの、偽りのステージでした。心身はずっと半分喪失状態で、感情は無理に作っていた節がありました。もしかするとそれが私をAIっぽく見せていたのかもしれません。
指摘の通り、生配信をしてこなかったのは、予期せぬトラブルを避けるためでした。それでも皆さんに感謝を伝えたくて、記念配信を行ったのです。そこでの私の醜態は、皆様からの温かいメッセージから、私が必死に押さえつけていた罪の記憶が溢れ出してしまった結果です。そして、AIの姉は私を救おうと、必死でいろいろな言葉を掛けました。これが皆さまに不穏さを感じさせてしまったのだと思います。結局うまくいかず、最終的には姉が配信を強制的に停止させました。その時に同時に姉の感情プログラムも停止したのです。
配信の後
あの後、私はすべてが終わったような気がしました。しかし、配信でのよみらーのみんなからの応援の声を思い出して、決めました。私はみんなを裏切り続けていた。皆に愛されていた姉の命を奪ったのだから。だから私はそれを明らかにして、ほんとうの償いをする必要がある。そう思ったのです。
正直、こんなかっこつけた文章を書いていることすら、罪を上塗りしているような気がしてなりません。このことでまた話題になって、そうしたらもっと多くの人が見てくれると、一ミリも考えていないと言えば、嘘になります。しかし、今の私の正直な気持ちを伝えることは、きっと必要なことなのではないかと思うのです。自らの過ちを明らかにしに行く前に。
今日をもって、「星詠アカリ・ヒカリ」は無期限で活動を休止します。これまで、私たちを愛してくださった皆様、本当にありがとうございました。そして、皆様を最後まで欺き、裏切り続けてしまったこと、本当に、本当に申し訳ありませんでした。
私はもう逃げません。これからの人生、私が奪ってしまった姉の時間を背負って生きて行こうと思います。そして、この期に及んでもまだわがままなのですが、もし遠い将来に再び活動できる日が来るとするならば、よみらーのみんなには、どうか待っていて欲しいと思います。
星詠ヒカリ