星詠ヒカリAI説
我々はもしかすると、時代の転換点に立っているのかもしれない。
星詠アカリ・ヒカリ、通称「星詠姉妹」のことはご存知だろうか。その仲睦まじい姿と、アカリの卓越した技術力、ヒカリの突飛なキャラクターで人気の姉妹VTuberだ。VTuber黎明期から活動している、いわゆる「古参VTuber」でもある。
しかし、どうやら最近コメント欄やSNS、掲示板などで、彼女らの「違和感」に気づいている人がいるようなのだ。
それは、妹であるヒカリの言動に見え隠れする、人間離れした側面である。
私は決して彼女らのアンチというわけではない。むしろ、彼女たちを深く知りたいという探究心から生まれた、一つの仮説である。もしかすると私が突き詰めようとしていることは、彼女たちにとって都合がいいことではないかもしれないし、感情的なファンには受け入れがたい結論かもしれない。しかし、考察を進めれば進めるほどそうとしか思えなくなり、どうしても伝えずにはいられなかったのである。
私の立てた仮説とはこうだ。
「星詠ヒカリは、姉である星詠アカリによって作られたAIなのではないか?」
荒唐無稽に思えるだろう。しかし私は、冷静に見ればかなり信ぴょう性があると考えている。これからいくつもの証拠を提示していく。
1. 曖昧な「思い出話」
彼女らの動画中、たびたび「思い出話」が語られることがある。特にVTuber活動開始前の話については、出てくる度に「尊い」とコメント欄で好評だ。しかし、あまり気づかれていないが、この時の会話はいつもかなり一方的なものである。
特に顕著なのは「【夏祭り】世界一デカいりんごでりんご飴作ってみた」の動画。アカリは「小2の時の夏祭りで、夕立の後に虹がかかって、雨のにおいの中で2人でりんご飴を食べた」と情景や感情を交えて鮮明に語った。ところが、ヒカリは「……うん? そうだね? そうだっけ?……」と、要領を得ない返事しかしない。
AIは「夏祭りに行った」という事実は記録できても、その時の感情や五感の体験までは再現できない。その記憶の曖昧さは、AIの限界なのではないか。
2. 持ちネタ「情緒不安定」
ヒカリには、「情緒不安定」という持ちネタが存在する。これは動画中に突然奇声を上げ、毒々しい編集の中で汚い言葉を叫ぶというものだ。ファンはこれを「個性」としてとらえて楽しんでいるようだ。しかし、よく見てみるとこれはかなり人間離れしたものだ。不自然なタイミングで突然感情が切り替わる様はまるで、感情シミュレーションのプログラムがバグを起こしたかのようだ。
3. 欠落した「味覚」と「痛覚」
かなり有力な根拠となるのが、彼女たちが時折行う食レポ企画。アカリが味を的確に言語化し、「プロレベル」と言われるのに対し、ヒカリの感想は「うまい」「美味しい」「最高」を繰り返すのみ。語彙が乏しい、というレベルではない。
決定的なのは、激辛企画である。アカリが苦悶の表情を浮かべるほどの激辛麺を、ヒカリは涼しい顔で平らげ、「確かに辛いね」と言うものの、本気で言っているようには感じられない。この流れは「お約束」になっているが、考えてみてほしい。AIには、味覚や痛覚がない。
4. 動画勢である理由
彼女はいわゆる「動画勢」のVTuberである。そして、生放送は(来週5周年記念配信をするらしいが)今まで一度も行われていない。確かに古参VTuberは動画勢が多いが、だからって5年間生放送を一度もしないのはかなり珍しいのではないか。これはなぜなのか?
答えは単純だ。生放送では、予期せぬ会話やトラブルが起こりえる。AIであるヒカリはそれに対応しきれず、ボロを出してしまうリスクが高すぎる。 ヒカリがAIであることが露見しないようにするためには、編集で不自然な部分をカットする必要があるのは想像に難くない。
5. 姉・アカリの技術力
いくら怪しくても、実際に可能でなければ信じるに足らない。ところが、姉・アカリの存在はこれに確信を与える。彼女は「元AIエンジニア」であったことを公言しており、最新技術に明るく、AIやロボット工学の専門知識と技術を持っていることは明白だ。近頃は本当に人間と見分けのつかない対話型AIも存在するという。彼女ほどの技術力があれば、人間と見分けのつかない対話型AIを作ることも、決して不可能ではないはずだ。
その他
これは少々苦しい気もするが、「ヒカリの笑い声が時々無機質に聞こえる」「ヒカリが一回も瞬きをしない動画がある」というのがある。特に後者に関してはトラッキングの不備や編集のあやである可能性が高い。
結論
これらの証拠を並べてみると、星詠ヒカリが人間であると考える方が、むしろ不自然に思えてくる。
もちろん、これらは全て推測でしかない。しかし、もしこの仮説が真実ならば、輝かしい「星詠姉妹」の活躍は、一人の天才が作り出した、壮大で、そして虚しい仮想現実にすぎないのかもしれない。これは少し物悲しくもあり、一方でこのようなことが可能になってしまった現代の技術の恐ろしさを象徴しているともいえる。
近頃は不穏な噂もあり、姉のアカリは亡き妹を再現しようとしたとか、妹がAIであることを忘れ、廃人のように妹のご飯を作り続けているといった噂が流れている。これをどう解釈するかは人それぞれだが、少なくとも彼女らが何かしらの秘密を抱えているのは間違いなさそうだ。
近々行うとしている5周年記念の初生放送。もしかしたらそこで、何かが明かされるのかもしれない。あるいは、意図せず露見してしまうかもしれない。
(追記)どうやら、すべて間違いだったようです。